皆さんがアルミニウムで普段目にするのはアルミホイル(アルミ箔)や一円玉でしょう。
アルミホイルはとても柔らかいですよね。
でも一円玉は意外と硬いような…
これらに使用されているアルミニウムは「純アルミ」と言います。
ほとんどがアルミニウムの元素(AL)で形成されているということです。
一方で機械部品などなど我々が金属加工で使うアルミニウムはほとんどが「アルミニウム合金」であり、アルミニウムとその他の金属、もしくは少量の非金属を混ぜ合わせているものとなります。
「純アルミ」は部品などで使用するには柔らかすぎるのです。
身の回りにはたくさんのステンレス鋼が使用されています。様々な金属の中からなぜステンレス鋼を使っているのかと疑問に思う方もいらっしゃることでしょう。今回はそんなステンレス鋼の基本的な特徴や用途、種類についてまとめております。鉄とステンレスの違いについてはこちらの記事からどうぞ。 ステンレス鋼の特徴①ステンレス鋼の特徴:錆びにくいステンレス鋼の特徴で最も有名なのは「錆びにくい」金属であるということでしょう。ステンレス鋼は英語で「Stainless Steel」、直訳すると「錆びない鋼」という意味になります。... ステンレス鋼について~特徴・用途・種類~ - 元サラリーマンの町工場奮闘記 |
アルミニウムの特徴
①アルミニウムの特徴:とにかく軽い
アルミニウムを使用する1番のメリットでしょう。鉄や銅に比べるとおよそ1/3の比重であるため、あらゆる機械や部品の軽量化に貢献しています。
②アルミニウムの特徴:その他
軽さ以外は二の次です(ぇ「強度」「通電性」「耐食性」「伝熱性」などなど一定以上の水準を有しているためバランスの良い金属です。
③アルミニウムの特徴:リサイクル
アルミ缶は資源ゴミで捨てますよね。ゴミとなったアルミは少ないエネルギーで再利用できるのです。
ゴミとなったアルミを溶かして再び固めて再利用することで省エネ効果を生み出しているコスパの高い金属なのです。
アルミニウム合金を使用する理由
わざわざ合金にする必要あるの?と思うかもしれませんが大切なのはアルミの軽さを持ったまま他の特徴を最大限に引き上げることです。元々の純アルミは軽い+そこそこの強度+そこそこの耐食性ですがマグネシウムを加えた合金にすることで軽い+かなりの強度+かなりの耐食性+おまけで溶接性を付加となります。
アルミのメリットを活かしつつ他の性質を引き上げたり付加しているのです。
アルミニウム合金の種類と特徴・用途
アルミニウム合金にはアルファベットAの後に4桁の数字をつけたアルミニウム合金名で表されます。
また、4桁の数字の千の位の数字でメインとなる混合物を区別しています。
例えばA2017、A5056など4桁の数字を見て2000系のアルミ、5000系のアルミとよく言われます。
1000系:純アルミ
1000系は純アルミのことを指し、混合物はありません。家庭雑貨や日用品で広く使用されています。
2000系:銅(Cu)
銅(Cu)との合金です。よく「ジュラルミン」と呼ばれ、強度を高めたアルミニウム合金になります。
我々金属加工業でも非常に加工頻度の高いメジャーな番手です。
軽さと強度が必要な産業用ネジや部品、航空機関連部材などで使用されています。
3000系:マンガン(Mn)
マンガン(Mn)との合金です。純アルミの耐食性を損なうことなく強度を高めたアルミニウム合金です。よく目にするアルミ缶はこの合金で作られています。
4000系:ケイ素(Si)
ケイ素(Si)との合金です。耐熱性と耐摩耗性を高めたアルミニウム合金になります。
熱膨張と摩擦に強いためピストンなどに使用されています。
5000系:マグネシウム(Mg)
マグネシウム(Mg)との合金です。強度、耐食性、溶接性などを高め、加工性もよいため、金属加工業でも重宝されています。
扱いやすい金属で日用品から産業用部品まで幅広く使用されています。
6000系:ケイ素(Si)・マグネシウム(Mg)
ケイ素(Si)とマグネシウム(Mg)との合金です。4000系と5000系の特徴を合わせ持ちますが溶接性はかなり悪くなります。
船舶用部品や建築用部品に使用されています。
7000系:亜鉛(Az)・マグネシウム(Mg)
亜鉛(Az)とマグネシウム(Mg)との合金です。超々ジュラルミン(A7075)とも呼ばれ、焼き入れによりアルミニウム合金の中で最大強度を得ることができます。
主に輸送機の車軸やスポーツ用品などに使用されています。
8000系:その他
アルミニウム合金にさらにリチウム(Li)や鉄(Fe)を添加し剛性や圧延性の向上などを行ったアルミニウム合金です。航空機の材料などに使用されています。
番外編:アルミニウムQ&A
アルマイト
アルマイトとは耐食性などを向上させる加工処理です。アルミニウムの表面を酸化させて被膜を作ることで各性質の付加・向上を行います。
また、カラーアルマイトというアルミニウムならではの着色方法もあります。
金属アレルギー
アルミニウムに金属アレルギーが反応する方は意外と少ないようです。鉄などに比べると金属アレルギーの方も身に着けたり持ちやすい金属と言えます。
ただしチタンに比べるとアレルギーが反応する可能性は少し高いので重度の金属アレルギーであれば触れない方が無難です。
金属疲労
金属疲労とは対象の金属になにかしらの負荷が発生すると金属内に蓄積するダメージのようなものです。ドラクエで言うと毒沼を一歩歩くごとに蓄積していくアレです。
そして一般的な鋼には疲労限度があり一定以上は疲労が蓄積しないのです。
ドラクエで言うとHPが1の時に毒沼を歩いてもHPがゼロにならないアレです。
しかしアルミニウムには疲労限度が存在しません。
ドラクエで言うと毒沼を歩いてたらHPがゼロになるのです。
実際にアルミニウムに疲労を蓄積するとどこかのタイミングでポキっと折れたり破断したりします。
なので例えば負荷のかかる建物の柱などに使用すると大変なことになったりするかもしれません。
適材適所の使用が非常に重要な金属なのです。
まとめ
アルミニウム合金もステンレス鋼と同様に様々な種類があります。使用用途に応じて使い分けています。
軽くて便利なアルミニウム合金は今後もっと活躍の場が増えるのではと思います。
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